こんにちは。おおいしです。
　ご声援をいただきありがとうございます。御礼も兼ねてコメントを。

　提示いただいたリンクをたどって罪状等を検討しました。私の見るところ、非常に申し上げにくい
のですが、不起訴となってもおかしくない事例だと思います。逆に言えば、これが起訴有罪となれば
たとえ少額な罰金であっても意味を持つことになると思います。

　まず、仮に起訴された場合のことを想定してみたのですが、少なくとも動物愛護法の最高刑（罰
金１００万円又は懲役１年）が適用されることはありません。残虐性は強いのですが、累犯である
ことの立証が不十分です。近所の住民が「そう言えば……」と言っている程度のものは、探偵やワ
イドショーでは意味があるかもしれませんが、犯罪の照明としては使えません。端的に申し上げま
すと、遺骸が必要です。このことが起訴を難しくする事情でもあると推察します。
　現在話題になっているバス運転手の飲酒事故についても、（１）どれだけ飲んでいたかという行
為の程度に加え、（２）常習的に行われていたということ、が強い非難可能性に結びついてきます。

　容疑者の動物虐待行為を容認するつもりは毛頭ありません。

　ただ、もし不起訴になったり、起訴されても無罪判決が出たときに、それが司法への批判として
噴出することに危惧の念を抱きます。私が心配しているのは、怒りの対象が検察庁や裁判所に向け
られることです。法律（刑法と動物愛護法）が軽い罰則しか持たない規定を設けている以上、司法
はそれに従って判断を行うしかないのです。私は、それが法に従った処理だと考えます。

　今回の運動の中で、動物虐待の罪名が『器物』損壊罪であることに不満な方もおられるようです
が、これにしても日本の法制度がそうなっている以上仕方ありません。罪名にとらわれて、本質を
見失うのではないかと心配します。

　あと、法律に携わる者から言わせてもらえば、容疑者の住所や氏名を公表しているのは嫌悪感を
覚えます。報復行為に出るような人たちが上申書を送っても、法律家にしてみれば「オマエモナー」
です（下品な２ch表現を使うのは大キライなのですが、あえて）。

　これでお終いにすると、「法律家は冷たい」というお決まりの批判が飛んでくるのが目に見えて
いますので、いくつか助言を。

　１）請願活動
　　　署名運動を行うだけの組織力があるならば、法律の改正を要求する運動に切り替えるべきで
　　す。今回の事件には効力は及びませんが、今後の行為を罰することができますから波及効果は
　　高くなります。具体的には、動物愛護法に定める罰則を引き上げたり、刑法に動物虐待罪を創
　　設することになるでしょう。運動対象は、個々の議員、政党、法務省などです。

　２）民事裁判
　　　どうしても今回の容疑者を断罪したいというのであれば、民事裁判を起こす方法があります。
　　つまり、動物虐待を奨励する図画を見せられたことによって生じた精神的損害を慰謝するため
　　の金銭賠償を求めるというものです。１０００人×１０万円＝１億円の請求というのも可能で
　　す（無謀ですが）。やはり勝訴は難しいでしょうが、１つの選択肢としてご紹介しておきます。