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オカノフミカの特徴
記事番号:667
投稿者名:kita
投稿日時:1999/05/24(月) 21:48:11
ドック入りのあいだ、岡野史佳の特徴について考えてみました。
この人はなによりもまず、「観察者」です。
フィールドワーカーといってもいいんだけど。
『地上の星座』にしても、たとえば津田雅実さんなら
オペラティックに主張を押し出すでしょうし、
ほかの人なら情におぼれた描き方になるでしょう。
たとえるなら
「演説でも物語でもなく、科学」
なのですが、
なぜ、岡野さんはこのような描き方を選んだのか?
自分の経験に照らしつつ、「人形」「イルカ」からたどってみました。
”人形をモノとは思えない”
はなはだ私事ですが、わたしは飛行機が機械に見えません。
松本零士のマンガでは、撃たれた飛行機は血を流しますが、
私はなぜ、それを自然なことと受け止められるのか?
知識を集めても結局傍証を積み上げるだけでした。
<なぜ自分はそう感じてしまうのか>
という「不思議」を解き明かし、自分を「理解」するには
心のなかを探り続け、すこしづつ迫るしかないようです。
(その全貌は一生わからないんだろうけど)
”イルカと泳ぐ”
彼らはまったく別の世界に生きています。
人間には彼らの世界は体験できません。推測するだけです。
でも。
言葉が通じない、人間には分からない世界にいる「はず」の彼らと
意志を交わす瞬間があります。
何者かからソロモンの指環が与えられた一瞬。
理性が支配する筈の世界に現れる、理性を超えた事象。
自分の内なる世界の不思議、
ふたつの世界の間にある不思議。
みずから進んでそれに近づくには?
岡野さんはその手段として「観察」を選んだ、と思います。
みえない指環に手を伸ばし、触れ、あらたな世界=宇宙をみるために。
自分のなかの不思議を解き明かす作業が「哲学」ならば、
『少年宇宙』シリーズは、哲学している、といえるでしょう。
最近は動物行動学のようなアプローチをしているように見えますが、
どちらにしろ、観察から考察へ、という手法は変わっていません。
お目汚し、失礼しました。
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