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〉「映画は、予告がいちばん面白い。」 〉 ふと、そんな台詞が脳裏をかすめる1冊でした。 〉 〉 朝日新聞の書評で、某氏が絶賛に近いことを言っていたのが読む気になったきっかけ。しか 〉し内容はというと・・・かなり稚拙。 〉 〉 序文を含め全体で6章構成になっているわけですが、実質的にオタク論を説いているのは 〉「序章 萌える都市」と「第5章 趣都の誕生」の部分のみ。最も冴えているのは『書名』だ 〉ったのだな、と思ってしまいます。 〉 〉 本を読み進めているうちに、どうにも第1章から第4章までが細切れで、何を主張したいの 〉かわかりませんでした。末尾に筆者の結論がごく簡単に述べられていますが、それにしても唐 〉突。あとがきを見て「なるほど」と思ったのは、それぞれの章は別々のものとして異なる時期 〉に発表されたものであったということ。そしてそれが「調査報告」として提出されたものであ 〉るということです。1冊の本にまとめるのであれば、練り上げて昇華させるべきところであっ 〉たのに、その労力を惜しんだように感じられてなりません。 〉 〉 どんなことがあったのか、という実態調査としてはそこそこ面白いです。そして、それらの 〉現象がどのように発生したのかについては、いちおうの解答を提示しています。しかし、考察 〉部分については、説得的とは言い難い。結論を避け、それなりの見解を示すに留まっているよ 〉うに思えます。 〉 〉 本書の性向を端的に示すのが、カバーを外したときに現れる“Learning from Akihabara” 〉という英題(表面にも書かれてはいるのだけれどね)。なるほど、この本は“Studies of 〉Akihabara”ではありません。例えて言うなら、『別〓宝島』のような。 〉 〉 著:森川嘉一郎 (2003年、幻冬舎)
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