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創作小説:「真夏」の感想
記事番号:147
投稿者名:Taka
投稿日時:1997/04/27(日) 09:03:06
関隼氏の「真夏」は、興味深く読めましたが、一個所だけ、とても気になるところがありました。
「海育ちの風」は、いえ、のみならず岡野史佳先生の作品は、“色”を大切にしています。
が、「真夏」に於いてそれは、まるで引っ掛かっただけで通りすぎてしまったような気がしてなりません。
「真夏」の“色”は、「闇に沈む鉛色」と「その日初めての太陽の光を浴びて変化する海の色」ですよね。
“全ての色が混沌となった鉛色”-->
“朝日を浴びて万華鏡のように輝く光”-->
“かつてカンバスの上に写し取りたいと望んだ《海の青》”
へのグラデュエーションをもう少し突っ込んで書いてほしかった。
たとえば、この時の岸田(闇の中の鉛色)から、高校時代に見つけた宝物(海の青)を取り出す為には、
太陽の光(=青木知也子)が必要。
その事に気が付いた時、それを再び見出す為に帰ってきたかつての母校で、
犬山くんを連れた青木と再会する。
といった具合に。これは一つのたとえですが、
「真夏」は“色”のイメージの持つ力が少々弱すぎるように思えました。
次作を期待しています。